レッドビーシュリンプ飼育で硝酸塩(NO3)が怖い理由|免疫とウイルス

現Lot.のアマゾニアソイルノーマルの溶出物チェック

レッドビーシュリンプが死んでしまう原因の一つとして、アンモニアなど三体窒素に気を付ける必要があることをレッドビーシュリンプが死ぬ原因|アンモニア・亜硝酸・硝酸塩の記事でご紹介しました。

レッドビーシュリンプ
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アンモニア>亜硝酸>硝酸塩の順に毒性は低くなり、硝酸塩は一般的に(特に魚類の飼育においては)無害だという認識があります。

毒性の強さ

アンモニア>亜硝酸>硝酸塩

でも、レッドビーシュリンプの飼育においては硝酸塩(NO3)は良くない物質であるという認識を持った方が良いです。

urushi
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今回は『硝酸塩になぜ気をつけるべきなのか?』という点について、詳しくご紹介します。

この記事では「レッドビーシュリンプ飼育で硝酸塩(NO3)が怖い理由|免疫とウイルス」について書いていきます。

 

硝酸塩がレッドビーシュリンプを死亡させる

毒性がほとんどないと言われる硝酸塩が、レッドビーシュリンプにとって致命的になることがあります。

水中にある硝酸塩は自然界では脱窒と言って、嫌気性菌によって窒素となって大気に放出されます。

しかし、水槽内では脱窒を行う嫌気性菌は生存できないので、水槽内にどんどん溜まって濃度が高くなります。高濃度となった硝酸塩が悪さをして、レッドビーシュリンプにとっては死亡リスクが高まってしまいます。

urushi
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脱窒は一般的な水槽では再現できません。

ちょっと難しい内容ですが、ろ過バクテリアについては詳しく別記事で説明しています。

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エビを死亡させるウイルスはたくさん存在する

養殖で使われるエビ、例えばクルマエビなどは古くから研究されています。

クルマエビではBaculoviral Mid-gut Gland Necrosis Virusというウイルスがとても有名です。

この通称BMNVは、クルマエビを全滅する殺傷能力を持つウイルスで、強い感染力を持ちます。

主にはクルマエビの腸の部分で増殖し、感染した感染したエビからウイルスが糞に交じって排出され、その糞を食べた他のエビや稚エビにドンドン感染が広がります。

そしてこのBMNVの場合は、一定の大きさの稚エビを全滅することで知られています。

他にもMonodon Bacluovirusなど、たくさんの病原性ウイルスが存在します。

 

水質汚染とウイルス罹患の関係

BMNVは汚染物の蓄積により、その発症率と感染率は上昇すると言われています。

クルマエビの養殖は、河川や河口のマングローブ地帯の木を切って養殖池にし増やします。

マングローブ地帯はエビにとって条件の良い環境…フミン質などを多く含み栄養価が高い土です。

その池を使用する回数が増えると、土壌はクルマエビの餌や糞で汚染されます。

自然界に生息する分布数よりも養殖は過密に飼育するので、当然ですよね。

池が汚染されてくると、BMNVなどのウイルスに罹患するエビが現れます。

この時の状態は、エビが排出する有機物の分解が追い付かず、養殖池では硝酸塩(NO3)が高い状態となっています。

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免疫抑制マウスでの感染

免疫機能が上手く働かないように遺伝子組み換えしたマウスが存在します。

そのマウスは無菌施設で飼育管理します。

マウスにはいくつか種類があるのですが、免疫機能を持たない種類のマウスの場合、無菌室から出すと病気を発症し死んでしまいます。

 

このマウスの例は極端ですが、ヒトでも免疫力が落ちた場合、普段なら体に入っても問題のない常在菌でも熱が出たり腹痛を起こしたりします。

溶連菌という子供の風邪といわれるものにも、大人も抵抗力が落ちていると罹患します。

ちょっとした風邪が肺炎にまで至ることもあります。

 

レッドビーシュリンプにとっては、硝酸塩(NO3)の値が高くなるにつれ少しずつ抵抗力が落ちることを意味します。

ツマツマと呼ばれる捕食活動を行わないということは、栄養吸収していないということなので分かりやすいですね。

 

硝酸塩がレッドビーシュリンプにとって良くない理由

ここまでの話をまとめます。

今まで書いた話のポイントは3つです。

硝酸塩に注意する理由

  • エビを死に至らしめるウイルスが存在する
  • 環境悪化でウイルスの罹患率は高まる
  • 免疫機能低下で常在菌でも脅威になる

レッドビーシュリンプがポツポツと連続して死亡する場合、ウイルスの可能性も考えられます。

さらに環境悪化…つまり硝酸塩が高濃度で溜まっている状態は、ウイルスの罹患率を上げるだけでなく、常在菌ですら脅威となります。

ちなみにウイルスと細菌は全くの別物ですが、環境悪化が悪影響を及ぼすという共通点があります。

シャドーシュリンプやクラウドシュリンプなどよりも、レッドビーシュリンプは血が詰まった種類のエビになります。

言い換えると、弱い部分があるということです。

レッドビーシュリンプなどの観賞用の小型のエビは、疾病の治療方法も乏しいので、いかに病気を発症させないか?という飼育をしたいですね!

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養殖池でも崩壊は起こる

余談ですが、クルマエビの養殖池ですが複数回使用すると、稚エビの歩留まりが如実に落ちます

マングローブの土のミネラルや養分をエビが使い果たし、さらに糞が蓄積するからです。

これは水槽で飼育している時の『崩壊』と呼ばれる現象に近いです。

クルマエビはマングローブを伐採し、新しい池へと転々と引っ越しします。(これが環境破壊につながっているのですが…)

urushi
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水槽のリセットと同じですね。

 

レッドビーシュリンプ飼育で硝酸塩(NO3)が怖い理由|免疫とウイルス まとめ

この記事では「レッドビーシュリンプ飼育で硝酸塩(NO3)が怖い理由|免疫とウイルス」について書きました。

レッドビーシュリンプは小さなエビなので、目に見える情報はごく限られています。

一般的には硝酸塩は無害という認識がありますが、水槽内では硝酸塩の濃度が重要な指標となります。

自然界と違って水槽内では高濃度となる硝酸塩は、レッドビーシュリンプにとってウイルスへの罹患や水質汚染の原因になりうると考えられます。

レッドビーシュリンプは鑑賞用のエビなので、学術的な研究が養殖とは違い進んでいません。

urushi
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クルマエビなど他の事例を考慮すると、十分仮説として有効だと思います。

リスクを抑えてレッドビーシュリンプを飼育するには、硝酸塩の濃度にも気を使う必要があるかと思います。とくにアマゾニアソイルなど栄養系ソイルを使う場合は注意してください。

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urushi

エビ歴15年。(アクア歴:26年)。元プチブリーダー。本業ではラボで遺伝子組み換えた魚の研究者(お堅い仕事)をしていました。 今はまったり趣味でエビを楽しんでいます。 専門的なことも交えながら、レッドビーシュリンプの飼育について書いてます。ゆるーくお付き合いくださいませ。

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