urushiは大手製薬会社の研究所に勤務していました。
遺伝子を組み替えた魚などを扱っていた関係で、データ=数値の大切さを知っているのでかなり重視しています。
研究者肌なので『根拠』を追い求めるスタイルです。一般の方や、勘に頼るタイプの飼育者からは奇異に映ると思います。
今回は、レッドビーシュリンプの水槽のTDSの数値目標について解説します。
この記事では「レッドビーシュリンプ水質|TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの数値目標」について書いていきます。
とくにTDSの値の意味について、正しく理解できるように詳しく書いています。
レッドビーシュリンプの水質
urushiの水槽の水質の数値目標をご紹介します。
水槽の数値目標
- TDS:120ppm(90~250)
- pH:5.8~7.0(pHにこだわりはありません。)
- GH:7(5~17)
- 硝酸塩:50ppm以下(100以下)
- 亜硝酸:0ppm=検出以下
- アンモニア:0ppm=検出以下
上記の数値は、あくまでurushiの水槽の数値であり、目標とする数値です。
水槽の状況や使っている水などで数値は変化すると思います。でも初心者の方の指標になるとも考えています。
レッドビーシュリンプは日本での飼育歴が長いエビなので、水質の急変には弱いですが、水に馴染んでしまえば水質の許容範囲は広く対応します。
urushiが使っているのは、ppmで測定できるマーフィードのTDS計です。
硬度とpHはさほど気にする必要はないですが、定期的にTDSと硝酸塩は測定しておく方が良いと思います。栄養系のソイルでの立ち上げ時には硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの測定をおすすめします。
urushiは水質検査にはペーパー状の試験紙は使いません。理由は色素での判定が難しく、レッドビーシュリンプにとっては誤差が大きすぎるからです。
レッドビーシュリンプ水質|TDS値について
レッドビーシュリンプ水槽のTDSの値について説明します。
まずTDSの値の意味を正しく理解することから始めましょう。
純水(RO水)は、不純物を含まない水です。研究所などでは特殊な機器を使い、純度の高い水を作り出し実験に使います。(アクアリウムのRO水は厳密には、純水に近い水といった純度です。)
純水(RO水)は不純物を含まないので、電気が流れることはありません。この水の性質を生かして測定するのが電気伝導率です。
電気伝導率はTDSメーターに使われている方法で、つまり、水の中にどれだけ不純物が混じっているか?を測定します。
不純物というと聞こえが悪いですが、カルシウムなどのミネラルも不純物です。
では、TDSの値は、水の中のミネラルだけを測定しているのか?というとそうではありません。糞や尿、硝酸塩など水槽内の不純物ひっくるめて測定結果として数値で出ます。
TDSはミネラルの量を知る指標に使う
TDSの値が表すもの
- 純水+ミネラル剤:ミネラルの数値
- 飼育水:ミネラルや汚物など様々なものが混じっている
純水にミネラル剤を混ぜただけなら、TDSの値はほぼ100%ミネラルの量です。しかし、水槽の中はミネラルや汚物など様々なものが集まった数値になります。
下記の記事でも少し触れていますが、本気で水に取り組むなら純水(RO水)一本です。なぜならミネラルの量を、ほぼ正確に確認できるからです。
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大切なポイントは、水槽の中がTDSの値が150だとしたら、ミネラル:不要な物質=20:130ではダメだということです。TDSの値が高く300あったとしても、レッドビーシュリンプに不必要なものの値が高いなら、その水がレッドビーシュリンプにとって良いものであるはずがありません。
逆にTDSの値が120でも、その多くをミネラルなどレッドビーシュリンプが必要にする物質が占めているなら、レッドビーシュリンプにとって快適な環境であると言えます。
ポイント
水槽の中のTDS値は、内容の配分を考慮する必要がある。
水槽のTDS値の内容を知るには?
では、水槽の中のミネラルの配分を知るにはどうすればよいか?をご説明します。
水槽の中のミネラル量を知る手順
- 水槽に追加する元水のTDSの値を測定する
- 添加剤を加えた水のTDSの値を測定する
- 水槽の水のTDSの値を測定する
- 数値を比較する
step
1元水のTDSの値を測定
水槽内のミネラルの量(必要な物の量)と不要な物質の量を知るには、まずは元の水のTDSの値を測定します。
浄水器を通した水や、井戸水、アクア用のRO水など、飼育水槽に入れる前の水のTDSの値を測定します。
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2添加剤を加えた後のTDSの値を測定
レッドビーシュリンプを飼育している場合、ミネラルなどの添加剤を追加して元水を利用すると思います。ですので、添加剤を追加した後の水のTDSの値を測定します。
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3水槽の水のTDSの値を測定
レッドビーシュリンプ水槽の中の水のTDSの値を測定します。
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4TDSの値を比較する
最後は3つのTDSの値を比較します。
例えば、元の水が浄水器を通したTDS80の水だとします。そこへミネラル剤を添加して130にしたとします。この場合、数値が上がった50はミネラルの量です。
水槽の水がTDS170だとしたら、使っている水がTDS130なので上がっている40は不要な物質です。ただし、純粋にTDS値40がすべて不要な物質かというと、そうではありません。ソイルやフウノミ実などから溶け出したフミン酸など、レッドビーシュリンプに有益な成分も含んでいます。
ですが、追加しているミネラル量が分かっている(TDS値50)ので、おおよそのレッドビーシュリンプの水槽内の内容をつかむことができます。
水槽内のTDS170の水の内訳は、TDS値40以下が不要物質で、TDS値50がミネラルの量です。
レッドビーシュリンプには一定の水質の水を使う
上記のように、水槽内のミネラルと不要な物質の量を知るためには、常にレッドビーシュリンプに与える水のTDS値を一定にする必要があります。
ポイント
立ち上げ時・換水・足し水では、常に一定のTDS値の水を使う。
水槽に入れる水が一定の数値でなければ、出てくる数値は意味がない物になります。
簡単に言えば、立ち上げた水がTDS130で(ミネラル:不純物=100:30)、換水時が前回はTDS100で(ミネラル:不純物=90:10)、今回はTDS140で(ミネラル:不純物=120:20)だったとしたら、水槽の中の水がTDS170あったとして…誤差が大きくなるのでミネラルと不要物質がどれくらいかよく分かりませんね。
せめて今からでも換水の数値を一定にすることで、数ヶ月後には誤差範囲が狭まった値が出てくるようになります。
レッドビーシュリンプ水質|TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの数値目標 まとめ
この記事では「レッドビーシュリンプ水質|TDS/pH/GH/硝酸塩/亜硝酸/アンモニアの数値目標」について書きました。
一般的な飼育で、ここまで細かくTDS値をコントロールする必要はありません。レッドビーシュリンプは水に馴染めば、許容範囲が広い生き物です。
ただ、『TDS値はどれくらいにしたらいいか?』と疑問に感じた時、TDS値の意味を分かっていなければ、数値ばかり追い求めることになります。
数値だけ追い求めると、水槽内の中にレッドビーシュリンプが不必要な物で数値が上がっているのにミネラルの添加を止めてしまい、レッドビーシュリンプにとって望ましくない水になることもあります。
本来であれば、レッドビーシュリンプに必要なミネラルがどれくらい存在しているのか?という指標として使われるのが、TDS値の意味になります。
TDSの意味を知って定期的に値を測ることで、見えてくるものもあると思いますよ。
イチオシのTDSメーター
TDS計のおすすめはマーフィード ECO TDSメーター+校正液 ECO TDS専用 90mlです。
やっぱりマーフィードは違います。安い物は数値が怪しかったり、すぐに壊れたりしますが、urushiはマーフィードのTDS計を10年近く使っています。故障もなく電池を1度交換しただけで、校正液で校正して使い続けています!
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