アマゾニアなど『栄養系ソイル』をレッドビーシュリンプ水槽に使う
栄養系ソイルは、濾過バクテリアの話と密接な関係性があるので、先にご紹介することにします。
(参考:濾過バクテリア:概論)
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濾過バクテリアについて:概論
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アマゾニアを使った水槽立ち上げの注意点
urushiが好きなのはADAのアマゾニアパウダーです。
何度か改定されていたり、天然の黒土を使用しているためLotによる差はありますが、栄養系ソイルとしては代表格であり参考になると思います。
さて、そのアマゾニアパウダーを用いた、とても簡単な実験結果をご紹介します。
手順は下記の通りです。
①アマゾニアパウダーを200cc計量し、小さなプラスチックケージに入れる。
②そこへ水道水を500cc入れる。
③それを8時間放置する。
そして、8時間後の状態を観察します。
目視では8時間経過すると、こんな感じになります。
懸濁しています。
アマゾニアパウダーからの窒素化合物の流出
この懸濁液を採り、NO2(亜硝酸)の濃度を測定しました。
写真では少し分かりにくいですが、NO2の濃度は0.1ppmくらいです。
次にNO3(硝酸塩)の濃度を測定しました。
NO3の濃度は5ppmくらいです。
水道水にはカルキが含まれ、濾過バクテリアが働いていない状態での8時間放置。
新規立ち上げで種水や濾過バクテリアを添加していない場合の水槽を一晩放置すると、このプラケと同様の状態になります。
アンモニアより毒性は低いですが、エビに大ダメージを与えるNO2が8時間で0.1ppm溶出されることが分かりました。
また、NO3も5ppm溶出しています。
ちなみに、アンモニアは検出以下でした。
バクテリアが居ない状態でのテストをしていますので、バクテリアによって分解は進んでいません。
分解するバクテリアが増殖するにしても、8時間では足り得ません。
よって、アマゾニアパウダーの中の含有成分であることが分かります。
ご存知の通り、NO3も蓄積すると毒性を示します。
時間を置くと、まだ溶出量はある程度のところまで増えます。
この「ある程度」は、Lotにより変化します。
エビの飼育を始めると、栄養系ソイルを立ち上げ次の日に全部換水すると聞くこともあると思いますが、それはこれらの初期の溶出物を廃棄する目的があります。
もちろん、水替えでなくバクテリアに処理させる方法もあります。
しかし、濾過バクテリアが、この溶出される物質を処理できる位に、細胞分裂を繰り返し増えるのは時間がかかります。
バクテリアの種類により分裂時間は違っており、濾過の役割を果たすのに1ケ月ほど要するものもいます。
(この話は、下記の記事を参考にしてください)
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濾過バクテリア:『硝化菌の概要と平均倍増時間』
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ここで理解していただきたいのは、立ち上げ直後にエビを入れてしまうと溶出物の加減で、エビには相当なストレスがかかる可能性があり最悪死んでしまうこともあり得るということです。
吸着系と言われるソイルは、この溶出物質が少ないか、もしくは出さないものになります。
立ち上がりはスムーズで、立上げの失敗も少ないと思います。
しかし、爆殖と言われる状態はフミンなどを多く含む栄養系ソイルの方が起こりやすいです。
ただ飼育の経験を積めば水作りをマスターし、どんなソイルでも使いこなし増やすことができるようになります。
各ブリーダーさんが『鉄板』という飼育方法が各々で違っているのも、使う水が地域で差があったり、使っている添加剤に違いがあったりするからです。
アマゾニア立ち上げからエビを投入までの流れ
水槽を立ち上げし1ヶ月水を回して、アンモニア/亜硝酸が0になり、硝酸塩の値が上がればOK。あとは硝酸塩が下がるまで換水をします!換水の方法は、1週間に1/4程度を交換し、それを3回繰り返します。そうすると3週間経過しますね、そこからさらに1週間は水を回します。
実際にレッドビーシュリンプを水槽に投入するのは、早くて水槽立ち上げから2ヶ月後になります。
硝酸の下がりが悪ければ、2ヶ月水を回してから、3週間かけて換水して1週間水を回して3ヶ月後にエビを投入します。
エビの投入は早くて2ヶ月後。
アマゾニア立ち上げからエビ投入までの手順
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1アマゾニアを使って水槽立ち上げ
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2水を1ヶ月間回す
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3水質測定でアンモニア/亜硝酸/硝酸塩を測定
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4アンモニア/亜硝酸が0になればOK
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51/4を換水(1週間に1回、3週間かけて計3回行う)
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61週間水を回す。
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7エビを投入する:早くて立ち上げ後2ヶ月後になる
アンモニア/亜硝酸が0にならなければ、水を回す期間を延長する。
初心者の方はアマゾニアを使うのが難しい印象があるので、アマゾニアソイルを使った水槽の立ち上げの注意点や、もっと詳しい方法の専用記事をご用意しました。参考にご覧ください!
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アマゾニアソイルでレッドビーシュリンプ水槽立ち上げ方法
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テクニック:アク抜き
テクニックとして、アマゾニアを使用する場合にアク抜きと呼ばれることを水槽立ち上げ以前に行う時もあります。
方法は下記の通り。溶出物を先に取り除いてしまおうという作戦です。
①バケツなどにアマゾニアを入れ、水を入れて放置。
②毎日、その水を交換し1週間~1ケ月ほどその作業を繰り返します。
③その後、立ち上げにそのソイルを使用する。
この方法はアマゾニアのLotの個体差で、どうしても溶出物が多い時に有効です。
数年前のアマゾニアは、溶出物がとんでもなく多い時期がありました。
そういった栄養価がとても高いLotに当たった場合は、バクテリアの分裂が追い付かないためアク抜きすることで立ち上げを早めることができます。
水槽の数が多く余裕のある場合で、2ヶ月以上待っていられればアク抜きはもちろん必要ありません。
ブリーダーさんによって、アク抜きの方法は色々あります。
上記の様に水を換える方法や、蛇口の下にバケツを置いて水を少し出しっぱなしにしたり、井戸水にさらして置いたり。もちろん放置型もあります。
水槽の本数が少ない5本以下位でしたら、立ち上がりのスピードも繁殖の成功に関わってくると思います。
繁殖の成功は稚エビの歩留まりが勝負で、あまりに飼育密度が濃い状態ですと歩留まりも落ちます。
ある程度の薄さで飼うには、水槽の実際稼働できる本数が多ければ多いほど良いです。選別にも使用できます。
データとして知ってるのと知らないとでは後々の飼育スキルが違ってきます。
根拠があってエビが調子を崩すのだと分かれば、対応も取れるようになります。
余談ですが、urushiは個人的な意見として、パイロットと呼ばれるエビの使い方が好きではないです。
テストでエビを入れなくとも、状態の良し悪しはデータで分かります。
それにアンモニアを放出させ、バクテリアを増やすにはエビを使うのは非効率だからです。
エビが無駄に死ぬことなく元気に増える状況を、1人でも多くの方が人工的に作れるように、今後も記事を書いていきます。
水質チェックはパックテストが正確で使いやすいですよ。
アマゾニアソイルで失敗する|相性が悪い場合には?
アマゾニアを上手く使えない場合には、こちらのソイルもオススメです。
立ち上がりもとても速いので、使い方次第ではアマゾニア以上のメリットもありますよ。
urushiはストックソイルに追加しました!
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アマゾニアソイルをビーシュリンプに使う時のポイント!栄養系ソイルには注意!まとめ
この記事では「アマゾニアソイルをビーシュリンプに使う時のポイント!栄養系ソイルには注意!」について書きました。
アマゾニアソイルは立ち上げには2~3ヶ月かかり、立ち上げの具合にもばらつきが多く初心者には少し難しいソイルです。使いこなせばレッドビーシュリンプがよく増えますが、失敗すると脂肪のリスクもあります。
アマゾニアソイルを使う時には、立ち上げに十分時間を取って、アンモニア・亜硝酸の値に注意してくださいね。
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