ども!元ブリーダーのurushiです。
レッドビーシュリンプ水槽の状態を見極めるのには、水質測定などによる数値データによるものと、生体や水などの目視によるものの2つを駆使します。
数値データと水槽内の状態観察といった違ったアプローチで、多角的に水槽を見ることで情報量は増え、水槽といった限られたスペースで飼育されている生体を健全に育成できます。
今回は生体のバロメータと言えるケンミジンコについて書いてみたいと思います。
レッドビーシュリンプ水槽のバロメータ『ケンミジンコ』
この素晴らしい写真はAKIRA SAKATAさんのサイトからお借りしました。とてもキレイな写真で惚れ惚れします!
リンク先はこちらです→ミジンコ図鑑
水槽内のケンミジンコは、urushiのカメラでは上手に写真を撮れませんでした...。
ケンミジンコは水槽のガラス面やソイルの上で、ピョンピョンと移動する可愛い小さな生物です。
ケンミジンコがレッドビーシュリンプ水槽のバロメータになる理由
ケンミジンコはレッドビーシュリンプの仲間
ケンミジンコは、じつは色んな種類が存在します。カラヌス目(ヒゲナガケンミジンコ目)Calanoida、キクロプス目(ケンミジンコ目)Cyclopoida 、ハルパクチクス目(ソコミジンコ目)Harpacticoidaなどです。
多くは海の中に存在していて、水槽の中で見るのはケンミジンコと呼ばれる多くの仲間の一部です。
ミジンコと同じく節足動物門甲殻綱で、つまり甲殻類のエビやカニの仲間です。
レッドビーシュリンプの仲間ということになります。
ケンミジンコの餌=稚エビの餌
ケンミジンコが何を食べているかというと、インフゾリアというもの。
インフゾリアとは何かというと、動物性プランクトンの総称です。ワムシなど色んな動物性プランクトンをひっくるめてそう呼ばれています。
ケンミジンコはとてもとても小さな目に見えない動物性プランクトンを食べているんですね。これはレッドビーシュリンプの稚エビと同じなんです。
つまり、ケンミジンコが元気に活動している水槽は、インフゾリアが豊富に存在していて、これは生まれて間もない稚エビの餌が豊富にあるという指標になります。脱皮を数回すればインフゾリアを摂取する時期は終わりますが、最初の餌はどんな生物にとってもその後の一生にとても重要な影響を与えます。
話は変わりますが、研究施設にいる遺伝子改変したゼブラフィッシュの稚魚は、初期給餌としてインフゾリアを与えるか与えないかで生存率は大きく変化します。インジェクションという受精卵に遺伝子操作を加えて作成する遺伝子改変ゼブラはとても弱く、歩留まり30%以下の種も珍しくありません。urushiは、インフゾリアを与えた場合、稚魚の生存率は向上し、生成熟後の生殖能力が高くなることも確認しました。なお、研究の場合はインフゾリアという大きなくくりで給餌する事なく、ワムシとゾウリムシとをそれぞれ無菌状態で培養し、孵化後の日数により使い分けて与えます。
これはレッドビーシュリンプにも当てはまると思います。
ケンミジンコが消えるということ
水槽内で発生していたケンミジンコは、レッドビーシュリンプに食べられ絶滅することはありません。
ケンミジンコが消えてしまった場合は、飼育水・・・多くの場合はソイルの状態の悪化が原因です。
一番弱い生物のインフゾリアが死滅し、次にケンミジンコ、そして稚エビ。このような順で水槽内の環境の悪化が目に見えてくることになります。
抱卵しているが、稚エビは確認できない。もしくは稚エビの歩留まりが悪い場合は、水槽内の環境が悪くなっているということになります。
ケンミジンコが消えた時点で、リセットや足しソイル(足しソイルはある程度の経験が必要です。)をすることで、レッドビーシュリンプにダメージが出るのを極力避けたいところです。
演繹法で考えれば、目に見えないインフゾリアを食べる『ケンミジンコ』が元気だと、レッドビーシュリンプの稚エビも元気に育ち、当然そのような環境は親エビにとっても良いといえます。
その逆もしかりです。
ケンミジンコはどこから来るのか?
エビを入れていない水槽でも、ケンミジンコは発生します。
これを考慮すると、ケンミジンコは休眠卵という耐久性に優れた卵を産むことができます。この休眠卵がソイルの中やバクテリアの元などに入っており、水槽をセットして水を得ることで孵化していると考えられます。
ぜひケンミジンコの状態にも注目してくださいね!
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